日本はハイコンテクスト文化だった！

本書を手にとっていただき、ありがとうございます。もしかするとあなたは、
「なかなか上司に評価されない」
「部下が言うことをきかない」
「人と会うことが苦手だ」
「人間関係の悩みを解決したい」
「もっとモテるようになりたい」
「営業成績が伸びない」
「面接が苦手だ」
…などと思っているかもしれません。でも、安心してください。本書では、「誰でも話が上手くなる方法」をお伝えします。どんなに良い商品でも、それが上手く伝わらなければ売れません。同じように、どんなにあなたが優れていても伝える能力がなければ誰にも認められないのです。
ところで、少し私のことをお話しさせてください。私はいまでは、「ロジカル・コミュニケーション」という話し方を教える会社を経営し、上場企業をはじめとする一五〇〇社に研修を導入してもらっています。
しかし、私も最初は「話し下手」で「コミュニケーション恐怖症」だったのです。ところが、いろいろな経験を経て「ハイコンテクスト文化」と「ローコンテクスト文化」という考え方に出会い、コミュニケーションに対する考え方が大きく変わりました。
この「ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化」については、米国の学者エドワード・Ｔ・ホールが提唱した考え方です。
詳しくは第３章で解説しますが、ハイコンテクスト文化においては、文化を築く基盤の多くを共有していることから、言語依存度が低くなります。つまり、話に重点を置いていない。そして、世界で最もハイコンテクストなのが日本なのです。ですから、「あ・うんの呼吸」「以心伝心」などといった言葉があるのです。

１日１２００万円の講師料の理由

つまり、
「言わなくても通じてしまう、通じやすい文化」
が日本なのです。だから、日本人は話が下手で当然なのです。
ところが、状況は変わります。それは、
・ビジネスのグローバル化
・日本人のレベル低下
です。
ご存知の通り、日本企業が海外に行ったり、お客様が海外企業だったり、社内に外国人がいたりするのは当たり前。当然、彼らはハイコンテクスト文化の人たちではありません。
だから、話は全然通じない。
それどころか近年では、日本人も「察する能力」がなくなってきており、
「部下に話が伝わらない」
と嘆いている上司の方の相談もよく受けるようになりました。
そんな中、日本企業の多くが「コミュニケーションの問題」を抱えるようになってきたのです。
実は、ビジネスにおける失敗は「コミュニケーションの問題」が原因であることが多いのです。会社の業績が落ちるのもすべて「コミュニケーションの問題」であることが多いです。
「経営者の考えが下まで伝わらない」→社員が一つの方向に動かない
「社内の情報共有ができていない」→同じミスを繰り返す
「お客様に情報を伝えられない」→売り上げが伸びない
…など、すべてはコミュニケーションの問題なのです。
実際、欧米の経営者の七二パーセントが「最も重要なスキルがコミュニケーションである」と答えている調査もあるくらいです。

ビジネスにおけるコミュニケーション不足は致命的

ですから、ある外資系企業の大型研修では、私を一二〇〇万円の講師料で呼んだのです。それは、会社が上手くいくのであれば一二〇〇万円なんて安いと考えたからでしょう。
それくらいビジネスにおけるコミュニケーション不足は致命的なのです。
これは会社だけでなく個人にも言えることです。
あなたがより良い人生を送るには、
・周りに評価される
・周りの人に好かれる
・異性にもモテる
・一緒に仕事がしたいと信頼される
ようになる必要があります。それを可能にしてくれるのが「コミュニケーション」なのです。
本書では「ハイコンテクスト文化」の中で育ってしまった日本人が世界に通用するためのコミュニケーション・スキルを紹介しています。「ローコンテクスト文化」のほうが圧倒的にコミュニケーション・スキルが発達しているので、それに負けないくらいのそして、私たち日本人に最も適したスキルを紹介しています。
実際、私がコミュニケーションを教えた多くの人が年収一億円を超えています。
ぜひ、本書を通じて、あなたの人生がより良いものになることを祈っております。

安田　正