「派遣で死者を弔う仕事」
喪主に聞かせられない
業界の恥部と、僧侶のフトコロ事情
――葬式しなくちゃいけませんか?
私は東北地方某県に存する東法院の住職だ。東法院は今から250年ほど前、江戸時代中期に創建された寺院で、先代住職から代替わりしてすでに20年以上が経ち、私は還暦をすぎた。
このように自己紹介をすれば、たいそうな宗教家のように思う人がいるかもしれないが、現在の私は〝派遣僧侶〟としてどうにか暮らしを立てている。
派遣の依頼を受け、現地に赴き、布施を受け取り、導師を務め、経をあげる。後日、受け取った布施の中から、依頼元の派遣会社に手数料を振り込む。
これが私の日常であり、本書は〝派遣僧侶〟という一般の方には耳慣れないであろう職業に就いている私の体験を赤裸々につづったものである。
本書では、派遣僧侶業界にとどまらず、仏教界や宗門の内情にも触れながら、奇妙でおかしなこの世界の全貌を明らかにしたい。
もくじ
まえがき――〝食えない僧侶〟の行き着く先は?第1章 本日も派遣で葬儀にまいります
某月某日 紹介手数料:派遣僧侶の日常
某月某日 オプションサービス:最安値プラン
某月某日 気持ちさえあれば:僧侶不要論
某月某日 戒名のつけ方:「それでも僧侶なんですか?」
某月某日 お車代:密室でのやりとり
某月某日 〝獣〟の顔:狸なのか、狐なのか
某月某日 裏アルバイト:内密に進めたい案件
某月某日 カメレオン作戦:プロのニセ坊主
某月某日 別の顔:軽貨物ドライバー
第2章 僧侶になる方法
某月某日 山に行くか?:入山のきっかけ
某月某日 ここに来た理由:同部屋の仲間たち
某月某日 修行道場24時:「おはよう」から「おやすみ」まで
某月某日 ドロップアウト:「出ていくことにします」
某月某日 金を稼ぎたい:日めくりカレンダーを破いて
某月某日 死亡事件:緘口令が敷かれる
某月某日 修了証:シャバに戻る日
第3章 派遣僧侶、始めました
某月某日 就職活動:結婚と離婚
某月某日 首切り役:針の筵に座る
某月某日 気晴らし:師匠と兄弟子
某月某日 法名:軽くて平凡な名前
某月某日 得度式:その日のうちに禁を破る
某月某日 決断:師匠と弟子の関係
某月某日 後継指名:住職就任の手順
某月某日 全財産:ソロバンを弾く
某月某日 アパート坊主:東京教会設立
某月某日 過当競争:好スタートしたものの…
某月某日 地元帰り:数少ない親孝行
第4章 業界の有象無象
某月某日 僧籍剥奪:「檀家って、今どのくらいですか?」
某月某日 獲得ポイント:僧侶派遣会社からの指令
某月某日 飛び込み営業:悼むセールスマン
某月某日 ボッタクリ:品性のないヨタ話
某月某日 人格者の訃報:金満家住職
某月某日 骨捨て場:合葬墓建設を検討する
某月某日 法律相談:「それは違法の疑いがあります」
某月某日 確信を持って:伝えたかった法話
某月某日 猛スピード葬:火葬に遅れたら元も子もない
某月某日 露見:「お名刺をいただけませんか?」
某月某日 難問:なぜ葬式をしなければならないの?
某月某日 旧友からの電話:たったひとりの一周忌
あとがき――葬式坊主の決意
【発行】三五館シンシャ/【発売】フォレスト出版











