コールドリーディング "Be"を貫くための"Do"

私より10才、若い夫婦なんだけどね、1,2ヶ月に1回くらいの割合でホームパーティーを開いてくれるんだ。で、時々私もそこに参加をしている。パーティーといってもただ食べ物や飲み物を持ち寄って集まるだけなんだけど、場所を提供してくれたり、企画を立ててくれたり、ともかくそういうことをやってくれる素敵な夫婦なんだ。

で、いってみたら顔見知りもいれば、始めて会う人もいる。夜も遅くなり、それぞれが帰り始めたので、おいとましようとしていたら。「ねえ、この子も同じ方向なんだけど送っててあげてくれない」と言われる。初対面の女性で20代前半の背が小さくかわいい女性だった。もちろんパーティー中は会話を交わしていたし、断る理由もない。イヤむしろ「ビンゴ!」と叫びたくなるような女性なのだ。

「最寄りの駅はどこなの? 駅まで出よかったら送っていくけど。」

あまり親しくない男に自宅前まで車で乗り付けられるのはイヤだろうと思い最寄りの駅を提案してみた。で、ハンドルを握りながらコールドリーディングを試みる。

帰り道の約40分間、それは、間をもたせたかったから始めたことだった。しかし、リーディングがヒットし始め、盛り上がっていく。私としても間を保たすためでなく、もっと彼女について知りたくて話を聞く。だんだん深い話になっていく。結局最寄り駅についても、お互い話を終わらせるタイミングが見つからない。

 「ここから、どうやって帰るの?タクシーを使うって?じゃあ、君の家の近くのコンビニで降ろしてあげるから」 

家の近くのコンビニまでの10分強更に盛り上がる。結局彼女の家の前で車を止めて話し込む。話している内容は結構重い相談事なのだが、車内はすごく良い雰囲気。暗く落ち込むといった感じではなく、二人で一緒に解決していこうと行った感じ。

・・・で、話が一段落しても彼女が車からお降りようとしないんだ。携帯についているストラップをいじりながら「これかわいいと思いません」とか言ってストラップを目の前で揺らしている。軽い挨拶程度のキスならば絶対出来る・・・ってくらい甘いムードが漂っていたね。正直いってよこしまな考えが一瞬浮かんだけど、彼女には何か言いたいことが、聞いてもらいたいことがあるんだな、と思った。だから次の言葉が口から流れ出た。

 「何か話したくても話せない、つらくて困っている話があるんじゃないの?」

彼女の顔をのぞき込んでいた。いつもの言葉「話せないのなら、話せる範囲で話してくれればいいよ」を言おうと口を開きかけたとき

 「別につらくはないんだけれどね・・・」

と彼女の次の話が始まった。

話は2時間近くにおよんだ。途中突然泣き出したりしたから、100円パーキングに移動して話を聞いていた。彼女が車を降りる前に「誰にも言えなかったんだよね、スッキリした。でも、どうして話したんだろう?」と不思議がっていた。「きっと、人に話すタイミングが来たんだよ。今がその時なんだろう」と答えておいた。3時間前とは全く違う彼女がいた。たぶん人から見たらものすごく仲の良い年の離れたバカップルにみえたことだろう。

彼女と別れてから、一人運転しながら考えていた。「チャンスだったのに。何もしないなんて・・・」という事ではない。確かにそんなことも考えたけど、それよりもコールドリーディングというものについて考えていたんだ。

コールドリーディングはコミュニケーションのツールであり、信頼させる技であり、石井先生の言うところの"Do"である。しかし、相手が心を開き、私を信頼してくれればくれるほど、私自身の考え、行動、生き方が重要なファクターになってくる。石井先生の言う"Be"が必要になってくるのだ。

今回、話が深まるにつれコールドリーディングのテクニックではなく、彼女の体験に自分を置き換え、感じ、考えていかなければ追いつかなかった。自分の考え待っていなかったら彼女に揺らされて一緒に悩んで苦しんだだけで終わりになっていたと思う。

コールドリーディングは"Be"に通じる"Do"なのか、"Be"を必要とする"Do"なのか。

ともかく、テクニックや技といったものを越えた、もっと本質のようなものが求められてくる。単なるツールじゃないということ。

私は、このコールドリーディング虎の穴に応募する前、教育にコールドリーディングを活かすことが出来ないかを考えていた。面談の時、個別指導の時、使いどころはいろいろあるだろう。教師のための、父親、母親のためのコールドリーディング。しかし今考えるのは、コールドリーディングを極めていくことは勿論なのだが、それと同じくらい、もっと自分自身を磨くこと、確立すること、石井先生の言う"Be"についてしっかり考えることをしなくてはならないと感じている。どんな教師でいたいのか。どんな人間でいたいのか。コールドリーディングを行い信頼関係が深まるほどそれらのことが必要なんだ。

もう一つ運転しながら考えたことがある。それは、今回コールドリーディングをしていて信頼関係が深まり、話を聞いていくうちに、明らかに自分の考えとは別の考えが働いていた。本来の私なら、そうは考えない、そんなことは言わない、そんな行動はしないようなことをしているのだ。閃くといった感じ。良い考えが閃いたり、良い言葉、例えがひらめいたり、良い方法が降りてきた。そう、"石井裕之"が私に乗り移ったように、その時の私は良い言い方していて、良いことを言っていた。

つまり、結論は「コールドリーディングは石井裕之の"Be"を貫く"Do"なんだ」ということ。コールドリーディングを行っていくと、誰でもいつか、石井裕之の"Be"に触れることになるんだろうなぁ。たまたま今回、私はものすごい良い体験をしたのではない。コールドリーディングを行っていく人は、必ず、みんな、もの凄く深い体験をすることになる。誰もがみんな必ず石井裕之の"Be"に遭遇することになるんだ。

ここまで読んでくれたあなた。どうもありがとうございます。


 

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