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「言いがかりにも我慢の仕事」
タクシー乗務員がつづる
憂いと怒りと笑いの路上観察記
――今日もお客に怒られて来い!
お客の中には上から目線でストレスのはけ口をドライバーに向ける人もいた。
お客の理不尽な言いがかりにも反論することなく、ぐっと我慢した。
嫌なお客が降りた後、車内で「バカヤロー」と何度大声で怒鳴ったことだろう。
――50歳でスタートし、65歳でリタイアするまでの15年間の体験を書きまとめた。
私には私にしか書くことができない事実や思いがある。
第1章「その筋の人」より
明らかに「その筋」、今の言葉でいう「反社」と思われる人が手をあげている。夜11時すぎ、浅草の路地裏だった。
本来なら知らないふりをして、そのまま通りすぎたいところだが、ばっちり目が合ってしまっている。これで目を逸らすわけにはいかない。
停めてご乗車いただく。いつもどおり丁寧に接客する。
伝えられたのはワンメーターもいかないくらい近くのクラブだった。
そこに到着すると、
「ちょっと行ってくるから、ここで待ってろ。逃げるなよ。会社と名前は覚えたからな」
運転者証を確認しながら、そう言う。
憶測だが、以前に関わり合いになりたくないと思って、待ての指示を無視して料金もとらずに逃げたタクシードライバーがいたのだろう。
私も数百円の支払いならば、とらずにこのまま逃げてしまいたい。しかし、そう言われれば、もう逃げるわけにはいかない。
もくじ
まえがき――最高年収556万円、最低年収184万円
第1章 汗と、涙と、罵声の日々
某月某日 採用基準:私のタクシー会社選び
某月某日 タクシー業界のイロハ:つどう〝エリート〟たち
某月某日 二種免許試験:地図とにらめっこ
某月某日 初乗務:ヨレヨレ班長は強い味方
某月某日 身の上話:小規模卸の悲劇
某月某日 売上げの60%:知らないルールだらけ
某月某日 女性ドライバー: 「うちの女性はきついよ」
某月某日 プロなんだから: 「俺に道案内させるのか!」
某月某日 成績優秀者たち:古だぬきの教え
某月某日 勝手な思い込み:やっていいこと、ダメなこと
某月某日 その筋の人: 「ここで待ってろ。逃げるなよ」
某月某日 お褒めの言葉: 「ワンメーターでいいですか?」
某月某日 トイレは我慢: 「頻尿」脱出術
第2章 ドライバーの事情、お客の事情
某月某日 探しに出るか、待つか:ライバルたち
某月某日 クラスメイト:なぜ話しかけられなかったのか?
某月某日 商売あがったり:酔っぱらいの絶叫
某月某日 あなたは幸せ? :一緒に暮らした母の問い
某月某日 ルーティーン:私の、ふだんの一日
某月某日 最長不倒:お客を信じる?信じない?
某月某日 パチンコ狂:タクシー乗務なら72時間
某月某日 借金王: 「わざと自爆事故をして…」
某月某日 ほら、来た:典型的な詐欺師の手口
某月某日 必死の説得:チケット客は上得意
某月某日 祈らずにはいられない:さまざまなお客
某月某日 スカウト:老紳士の、ある提案
某月某日 小さな常連客:世間知らずのお坊っちゃん
某月某日 化かしあい:特別地区・銀座
某月某日 奴のウソっぱち:庶民の味方の正体
某月某日 ドラマ出演:10時間待って10分の仕事
第3章 警察なんて大嫌い
某月某日 違反切符:ニコニコ顔の警察官
某月某日 ソープランド:人生悟った如来さま
某月某日 クレーマー:ベテラン職員の解決法
某月某日 居眠り運転:心配性なお客
某月某日 名演技: 「今日のところは見逃してください」
某月某日 個人タクシー:プロ中のプロの誇り
某月某日 忘れ物:お届けはサービスか?
某月某日 東日本大震災:何もかもが異常だった
某月某日 釣りはいいよ:気づかいの人びと
某月某日 街宣車:お客の鈍感力
某月某日 オイシイ仕事:サザンのコンサート行き
某月某日 うるんだ瞳:助手席に乗ってきた彼
某月某日 詭弁:最低のお客、アヤシイお客
某月某日 タクシー賭博:大相撲東京場所の楽しみ
某月某日 傍若無人:恐ろしい策略
某月某日 母の最期: 「表」だけを見せて逝った
第4章 さよならタクシードライバー>
某月某日 最高営収:12月、金曜日の奇跡
某月某日 決定的な出来事:一過性黒内障の疑い
某月某日 退職:おひとりさまの暮らし
某月某日 尊敬のまなざし:シルバーの駐輪場整理員募集
某月某日 嘆きのコロナ:現役ドライバーの告白
あとがき――4万人以上の人と接して
【発行】三五館シンシャ/【発売】フォレスト出版
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「あなたは経営者、すなわち社長さんです」
これが下請け労働者のリアル
『青春☆金属バット』『チェリーボーイズ』の古泉智浩書き下ろし作品
どこにでもきつくてつらい仕事がある。
そして、そこで頑張っている人がいて、私たちの生活を支えてくれている。
原作者「まえがき」より
超巨大企業「Q電」の下請け会社の、そのまた業務委託員。ただ、命令に従い、ただ無力であり、ただ苦情や理不尽な叱責を受けなければならなかった。雨、風、暑さ、寒さに耐えて働いた。
同じように苦労している人、同じように報われない人たちがたくさんいると思う。私はそういう人たちに思いを馳せた。
もくじ
第1話 きつ目の一日
第2話 個人事業主
第3話 独居老人
第4話 東京・鹿児島
第5話 台風一過
第6話 余計な苦労
第7話 取りに来させろ
最終話 最後の検針
【発行】三五館シンシャ/【発売】フォレスト出版
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「いらだちに直面する仕事」
介護支援専門員が向き合う
怒り、悲しみ、不安の正体
――人生の最終章を見つめて
本書を読んでもらえればわかると思うが、あらかじめ申しあげておく。
私は優秀なケアマネジャーではない。
書類整備などの実務に追いつけない。手際が悪く、機転がきかない。
お仕事小説やお仕事ドラマの主人公のようにいつになったら成長するのかとあきれながら、もう70歳も目前に迫ってきた。
――本書は、そんな私の極限状態における滑稽さも描いた。日記形式になっているが、すべて私が実際に体験したことである。
第1章「感情労働者」より
「こんなヘボなケアマネ、見たことねえぞ。おまえみたいに能力がないケアマネは、き・え・ろ!」
私を大声で罵倒したのは78歳でひとり暮らしの男性だ。難病で歩行困難なうえ、半年前に受けた胃がんの手術のあとの痛みが激しく、いつも苛立っていた。
大学病院への通院に付き添ったとき、私が診察後の精算に戸惑ったことで怒りを爆発させた。
「おまえはもうどこかに行け! これ以上、俺に、さ・わ・る・な!」
ケアマネになって20年、利用者から出入り禁止を食らって、どうにもならなくなった経験が5回ある。自分から断ったことは一度もない。
私たちケアマネは常時、大なり小なり、利用者の怒りにさらされる。ケアマネは、利用者や家族の怒りや不安、悲しみに直面する「感情労働者」だ。
もくじ
まえがき――成長しないケアマネ物語
第1章 ケアマネの多難すぎる日常
某月某日 感情労働者: 「俺に、さ・わ・る・な!」
某月某日 ケースワーカーの〝使命〟: 「あなたと話す必要はない」
某月某日 綱渡り:90代と60代のハローワーク
某月某日 猛反対:生活保護をめぐる兄弟の攻防
某月某日 本日も残業なり:地域包括支援センターの、ある一日
某月某日 元気すぎる認知症:妄想が「自立」の邪魔をする
某月某日 「ふつう」になりたい:職を探す旅
某月某日 おむつ交換おばさん:私のモチベーション
某月某日 夢の職業:ゾクゾクするような快感
第2章 「老い」と「死」の最前線
某月某日 ゴミに埋もれたアルバム:アルコール依存症
某月某日 息子には仕事がない:父親がいなくなったら…
某月某日 おだっくい:一人三役のコント活動
某月某日 一緒に暮らしましょう:考え抜いたウソ
某月某日 がん治療:最期の迎え方
某月某日 認知症棟:脳裡に刻まれる母と娘
某月某日 愛の(?)キーホルダー:迎えに行くのは誰?
某月某日 終の棲家:大家との対決
第3章 人間関係はいつもヤッカイだ
某月某日 もうすぐ定年:それでもまだ働きたくて
某月某日 不機嫌なドクター:人生を懸けた交渉
某月某日 一抹の不安:素朴な好青年の正体
某月某日 辞めてもらいます:突然の宣告
某月某日 追放:ため込んで爆発するタイプ
某月某日 監視と非難: 「もう一度、書き直してください」
某月某日 孤立: 「レセプトをやったことないですって!」
某月某日 メール騒動: 「非常にまずい事態になりました」
某月某日 ド素人以下: 「許せる行為じゃありません」
某月某日 シミュレーション: 「辞めさせていただきます」
第4章 まだまだ辞められない
某月某日 火の車:垂れ流される赤字
某月某日 ベテランと甘ったれ:介護のプロの嘆き
某月某日 ホステス: 「うらぶれた人間になるな」
某月某日 ワンマンショー:恐るべき訪問看護師
某月某日 ライブ配信:娘の副業
某月某日 ロシアンルーレット:あるおじさんケアマネの告白
某月某日 疑似家族:気がかりな〝妹〟
某月某日 入院拒否:放り出される瀕死の患者たち
某月某日 心配ないよ:責めない、叱らない、蔑まない
あとがき――夢のような日々
【発行】三五館シンシャ/【発売】フォレスト出版
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「介護職は最後の手段」
それでも私が続けるワケ
介護職員が立ち尽くす
老いと死の現場
――それは想像を超えた風景
介護の世界は想像をはるかに超えた、汚く危険で、きつい世界だった。
次々とマイナス面を掲げることができる介護の仕事、それなのに私は今も介護ヘルパーを続けている。
だからといって、この仕事に生きがいを感じ始めた、なんてことはまったくない。
最後まで読んでいただければ、なぜ私がこの仕事を続けているのか、少なからずご理解いただけるのではないかと思う。
――本書は、介護現場の末端で見つめ続けた「老い」と「死」のドキュメントである。
はじめにより
介護職は最後の手段、という人がいる。
どうしても仕事が見つからない場合、仕方なく就く職業という意味だ。
私はハローワークの紹介で半年間、介護職員養成スクールに通い、修了後56歳で介護の世界に入った。クラスには70歳の同級生もいて今でもつきあいがある。
それ以前は、デザイン事務所、建設コンサルタントの役員、環境商材の施工会社経営などさまざまな仕事をやってきた。居酒屋2店舗のオーナーだったこともある。広告代理店で広告取りの営業もした。自作の絵画を売って生活していた時期もある。
つまり、多くの職歴や失敗を経て仕方なくこの仕事に就いたわけだ。
この業界では、いちばん下っ端に属し、利用者のお世話係程度の仕事だ。キャリアもまだ4年で、未熟な私が介護について述べるのは甚だおこがましい。それでも底辺から見えてくる景色を私なりにお伝えしたい。
もくじ
まえがき――想像をはるかに超えた景色
第1章 流れ流れて、介護職員
某月某日 「さっさとやれよ」 :介護ヘルパーは奴隷か?
某月某日 隠す老女:隠したことすら忘れてしまう
某月某日 人間不信:裏表のある人
某月某日 相性:どうしても好きになれないタイプ
某月某日 養成スクール:70歳の新入生
某月某日 「ここ絶対やめたほうがいい」 :面接担当者はそう言った
某月某日 タブー: 「暗黒の時代だったのよ」
某月某日 夜勤のほうが好き:真夜中の入居者たち
某月某日 不思議な体験:入居者が亡くなって…
某月某日 モンスターファミリー:私の財産になった「笑顔」
第2章 私の〝ホ〟がない生活
某月某日 セクハラ: 〝夜〟と〝アッチ〟の話
某月某日 ヨボヨボ:射し始めた光の中に
某月某日 濡れ衣:人の噂も四十九日
某月某日 お葬式:泣く職員、泣かない職員
某月某日 ホがない一日: 「いいや、なんもせんかったよ」
某月某日 職業病:お年寄りが気になって仕方ない
某月某日 毎日、死化粧:100歳のつぶやき
某月某日 自慢話: 「個人の尊厳と価値」を守るために
某月某日 占い師:なぜ占いが当たるのか?
第3章 すぐ辞める人、まだ辞められない人
某月某日 ズルイ仕事:よい施設の見分け方
某月某日 1週間で辞めた: 「僕、無理な気がします」
某月某日 口癖:ありがとうの人、ごめんなさいの人
某月某日 赤ちゃん言葉:子ども扱いの弊害
某月某日 意地悪:ターゲットはいつも若い女性職員
某月某日 なぜ逃げる:ただ逃げたかった
某月某日 ババアは盗む、ジジイは…:男と女は脳の構造が違う
某月某日 寄せ書きの涙: 「私、いい人?」
某月某日 羞恥心:まるで女学生のような
某月某日 嘘のテクニック: 「あんた、泥棒なの?」>
第4章 底辺からの眺め
某月某日 失禁とプライド:励ましの作り話
某月某日 3大欲求:最後の晩餐を何にするか
某月某日 ×××に刺青:人は見かけによらぬもの
某月某日 奇妙な訪問者:認知症か、それとも…
某月某日 施設選び:入る側と受け入れる側の視点で
某月某日 コロナなべの中には:思いもよらぬ逆転現象
某月某日 「先生」と呼ばれて:ホラとホラの間に
あとがき――それでもなぜ続けているか
【発行】三五館シンシャ/【発売】フォレスト出版
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静かなるベストセラー『買いものは投票なんだ』の主人公EARTHおじさんが問いかける
「人類に言いたいことがありますねん。
ちょっとワシの話、聞いてもらわれへんやろか」
お金、環境、時間、いのちとは?
笑って楽しみながら、深く考えさせるオールカラーのメッセージイラストブック
もくじ
人間みたいな姿になりたい
注目の的
人気ものやねん
裸ってなんや
服ってな
何があかんの?
にんげんかんさつ 0才児
にんげんかんさつ テレビ
〈ぼくの日記①〉
ええもん
EARTHおじさんはみた
EARTHおじさんのもちもの
おゆうぎかい
じゅんびはととのった
もうおむかえいやや
ぼくのもとへ
ゴッチン
〈ぼくの日記②〉
ともだち76億人できるかな
EARTHおじさんの歴史の授業
EARTHおじさんのわからないレベル
ファストファッション
EARTHおじさんの体臭
うらしま太郎
たなばた
くるくる寿司
おそうじ
土と腸
台風
〈ぼくの日記③〉
笑顔
音なるつく
お金ってなんや①
喫茶神の泉――お金ってなんや②
ずっこいまむまむ――お金ってなんや③
便利な道具――お金ってなんや④
資源と戦争
UFOキャッチャー
〈ぼくの日記④〉
除菌
ももたろう①鬼退治
ももたろう②鬼ごっこ
ももたろう③正義と差別と分断
EARTHおじさんのげんきなすごしかた
EARTHおじさんの質問コーナー
いのち①
動物たちの声――いのち②
幸せになるんやで――いのち③
〈ぼくの日記⑤〉
選挙
森のサロン
バランスボール
つながり
ぼうずへ
字がヘタすぎて読めなかったみなさまへ
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