本書の編集を通して痛感したのは、「考えすぎ」は誰にでも起きる“脳のクセ”だということです。著者が示す「考えてはいけないことリスト」は、思考の渦に巻き込まれたときに、自分を救い上げてくれる小さな手がかりになります。読んでいくうちに、考えるべきことと手放していいことの境界線が自然と見えてきて、心に静かな余白が戻ってきます。忙しく、情報に振り回されがちな時代だからこそ、多くの人に手にとってほしい一冊です。
POSTED BYかばを
現代人の“止まらない思考”をどう止めるか
脳の負担を軽くする実践書
私たちが1日にもっとも多く会話する相手は、他の誰でもない「自分自身」。仕事の合間に、帰り道に、夜布団に入ってから――頭の中では絶えず「内なる声」が話し続けている。
この“自分との対話”は、時に気づきを与えてくれるものの、多くの場合は悩みや不安、自己否定を増幅させる思考の沼となります。
なぜなら、その“内なる声”は必ずしも成熟した助言者ではなく、時に未熟で自己攻撃的な存在でもあるからです。
とくに現代社会では、SNSや情報過多により「他人と比べる」「評価を気にする」クセが強まり、さらに自己対話が加速しています。
本書は、こうした“止まらない脳内の会話”を見つめ直し、「そもそも、考えなくていいことを、私たちは考えすぎているのではないか?」という視点から、自分を救うための思考の“取捨選択”を提案します。
とはいえ、「考えるな」と言われても考えてしまうのが人間。
「考えないようにしよう」と思えば思うほど、考えてしまうもの。
そこで本書では、「考えてはいけないこと」をあえて「リスト化」しました。
思考の渦に飲み込まれそうになったときにリストを参照すれば、「これは考えると不幸になるだけだな」と気づくことができ、一時的にせよ思考をストップするきっかけになるはず。
さらに、スキルとしての「考えない方法」も、随所に記しました。
「考えない自由」を手にしたとき、あなたの毎日はもっとやさしく、もっと軽やかになります。
ページをめくるたびに、あなたの中に「考えない自信」が芽生えていくはずです。
世界の研究が示す「考えない」という賢い選択
本書の構成について
本書では、他人からの評価・過去の後悔・未来への不安・自己否定・反すう思考といった“考えても何も得られない思考”を5つの領域に整理し、世界の学術論文にもとづいて「考えてはいけないこと」と「考えないための方法」を紹介します。◎「嫌われているのではないか」「空気を読めなかったのではないか」などの、他人からの評価不安(第1章)。
◎「もしあのとき、○○していれば……」などの取り返しのつかない過去への振り返り(第2章)。
◎「また同じ失敗をするのでは?」という、まだ起きていない未来への不安(第3章)。
◎「こんな自分でいいのか」などの、自分を否定するような自己評価や自己対話(第4章)。
◎「自分は何者なのか?」などの、答えが出ない自己探求の迷路に陥る反すう思考(第5章)。
そのうえで第6章では、むしろ考えることで人生が軽くなる「前に進める思考」も提案します。無益で有害な考えがある一方、積極的に考えることで幸福感を高める思考もあるのです。
目次
第1章 それはあなたの思考ではない【他人・評価編】第2章 思考はタイムマシンにならない【過去・後悔編】
第3章 まだ起きていないことで苦しまない【未来・不安編】
第4章 自分という迷路から出る【自己否定・抽象思考編】
第5章 終わりの見えないループを止める【思考の沼編】
第6章 “前に進める思考”だけを残す【考えてもいいことリスト】
著者について
-
言語学者(法言語学、心理言語学)。明治大学教授。
View More
1999年、シカゴ大学言語学部博士課程修了(Ph.D. in Linguistics、言語学博士)。2000年、立命館大学法学部助教授。2005年、ヨーク大学オズグッドホール・ロースクール修士課程修了、2008年同博士課程単位取得退学。2008年、明治大学法学部准教授。2010年、明治大学法学部教授。
司法分野におけるコミュニケーションに関して、社会言語学、心理言語学、脳科学などのさまざまな学術分野の知見を融合した多角的な研究を国内外で展開している。
また、研究以外の活動も積極的に行っており、企業の顧問や芸能事務所の監修、ワイドショーのレギュラー・コメンテーターなども務める。
著書に『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』(クロスメディア・パブリッシング、共著)、『科学的に元気になる方法集めました』(文響社)、『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』(サンクチュアリ出版)、『ハーバード、スタンフォード、オックスフォード…科学的に証明されたすごい習慣大百科』(SBクリエイティブ)など多数。











