「今、私が不幸なのは、親のせい」
「給料が安いのは、会社のせい」
「この失敗は、ちゃんと教えてくれなかった上司のせい」
「私がちゃんと働けないのは、政治が悪いから」……。
本書は、このような他責グセの強い人、いわゆる他責思考の人の心理的メカニズムと、当事者とまわりのそれぞれの対処法について解説した本です。
他責グセの強い人を見かけると、いつも思うことがあります。特に若い人の場合、「損している」と。本書のなかで著者の小日向さんが、他責思考が強い人に生じるデメリットをいくつか挙げているのですが、その1つに「自己成長の機会を失う」があります。失敗やミスは、成長できる貴重な機会なのに、それを他責グセによって、自ら手放している。「失敗しても教えてもらえるのは20代まで」と言われるように、年を重ねるほど、まわりが教えてくれる機会が少なくなり、成長しないまま月日を経て、結果的にどんどん生き苦しくなっている。そんな30代以上の人をたまに見かけます。年を重ねれば、おのずと成長するなんて嘘。他責思考の強弱がその後の人生を大きく左右するのではないかと思うほどです。そんな「他責思考」という病について、6500人超の心をサポートしてきた小日向さんが事例を交えながらわかりやすく解説してくださいました。

POSTED BY森上
【まわりを困らせる
「他責グセ人間」の精神構造と対処法】
「このミスをしたのは、私じゃなくて、あの人のせい」「今、私が不幸なのは、親のせい」
「給料が安いのは、会社のせい」
「この失敗は、ちゃんと教えてくれなかった上司のせい」
「私がちゃんと働けないのは、政治が悪いから」
このように、
トラブルの原因や責任を
何でも他人や環境のせいにする人、
あなたのまわりにいませんか?
そんな人を
「他責思考」な人
と呼びます。
心理学的見地からは、
「他責思考は、
自己責任を回避し、
失敗や問題から自分を守るための
防御機制の1つで、誰にでもある思考」
といわれています。
問題は、他責思考が強いかどうか。
他責思考が強いと、
次のようなデメリットを生み出します。
◎自己成長の機会を失う。
◎人間関係が悪くなる。
◎チームを乱す存在になる。
◎ストレスが増える。
◎攻撃的な言動が多くなる。
◎変化への対応が遅れる。
そんな残念な「他責思考」が生じる
心理的メカニズムとともに、
他責グセのある人の特徴や対処法、
まわりの人が他責に巻き込まれないために、
他責思考の人とどう向き合い対処すべきかを
徹底解説したのが本書です。
著者は、
「他責思考」をはじめ、
心の不調や悩みを抱える
6500人超の心のサポートをしてきた
産業カウンセラー。
著者いわく
「精神的に一番安定し、理想的なのは、
ほどよく自責、ほどよく他責」。
この理想形を目指すために、
本人はどうすればいいのか、
まわりの人はどのように対処すればいいのかを、
事例を交えながらわかりやすく解説します。
気になる本書の内容
本書の内容は以下のとおりです。第1章 相談事例から見る「他責思考」のパターン
◎職場や家族に潜む、「他責思考」の人たち
◎【CASE1】私が不幸なのは、すべて親のせい――桜井明子さん(仮名・40代)
◎煩わしい人間関係から解放された派遣社員生活
◎父親との確執
◎派遣先の会社の悪いところが目につき、転々とする日々
◎働き続けられない原因は親にある!?
◎恋愛がうまくいかないのも親のせい!?
◎【CASE2】すべて会社が悪い――浅原道子さん(仮名・50代)
◎会社には不満しかないが、自分が辞めたら会社がつぶれる!?
◎【CASE3】すべて政治が悪い――田中洋平さん(仮名・40代)
◎政治系動画に触発されて
◎【CASE4】「運」が悪い――伊藤翔さん(仮名・20代)
◎ギャンブルで借金は、親の遺伝!?
◎【CASE5】異性を敵対視する――鈴木陽介さん(仮名・30代)
◎「女性専用車両」をきっかけに、女性を敵対視
◎【CASE6】スピリチュアルに傾倒――梅田美恵さん(仮名・30代)
◎興味本位で行った「占い師」からの指摘
◎【CASE7】「病気だから」――篠原美保さん(仮名・30代)
◎適性テストでの勝手な思い込み
◎親に負担をかけつつ、「病気だから仕方がない」
◎人間の心に必要な思考
第2章 「他責グセ」の人の心の中では、いったい何が起こっているのか?
◎他責思考がクセになる要因
◎他責思考の固着要因は2タイプ
◎「合理化」一辺倒の防衛機制――他責思考の固着要因①
◎「防衛機制」の難しさ
◎「他責グセ」は、すぐに指摘できない
◎過剰な自己保護――他責思考の固着要因②
◎「他責感情」の対義語「自責感情」とは何か?
◎「他責グセ」のある人の7つの特徴
◎謝ることができない――「他責グセ」のある人の特徴①
◎自分より弱いものに対して強い攻撃性を持つ――「他責グセ」のある人の特徴②
◎なぜ親を責めやすいのか?
◎正義をふりかざす――「他責グセ」のある人の特徴③
◎変化を嫌う――「他責グセ」のある人の特徴④
◎根本的な解決にならない、ストレス発散の2つの行為
◎身元を明かすことを嫌う――「他責グセ」のある人の特徴⑤
◎スピリチュアルに傾倒する――「他責グセ」のある人の特徴⑥
◎「善意の暴走」の危険性
◎無知――「他責グセ」のある人の特徴⑦
第3章 「他責グセ」の人が増えている理由
◎保身の時代――他責グセの人が増えている理由①
◎行きすぎた「あなたらしさ」――他責グセの人が増えている理由②
◎ネットの台頭――他責グセの人が増えている理由③
◎承認欲求が満たされても、不満は生じる
◎高齢化社会――他責グセの人が増えている理由④
◎「年功序列」という価値観の弊害
◎他責思考の人のストレッサーとなる高齢者
◎就職氷河期と人口ボリュームゾーン――他責グセの人が増えている理由⑤
◎団塊の世代と就職氷河期の対立構造――他責グセの人が増えている理由⑥
◎論破の賞賛――他責グセの人が増えている理由⑦
◎目に見えないもの、数値化しにくいものに全責任を転嫁する
◎貧富の差の拡大――他責グセの人が増えている理由⑧
第4章 「他責思考」がもたらすデメリットと影響
◎自分で気づきにくい
◎孤立していく――他責思考グセの残念な影響①
◎「気」を軽く見てはいけない
◎自己成長が鈍化する――他責思考グセの残念な影響②
◎怒りの感情に支配される――他責思考グセの残念な影響③
◎思考力の低下――他責思考グセの残念な影響④
◎メンタルヘルスの悪化――他責思考グセの残念な影響⑤
◎ネット世界は、孤独感を癒してくれるか?
◎「孤独」が陥れるメンタル不調
◎昼夜逆転生活のリスク――他責思考グセの残念な影響⑥
第5章 もし自分が「他責グセ人間」かもと思ったら
◎「他責グセ」は気づきにくい
◎「痛み」は誰かに代わってもらえないことを知る
◎どんどん頼る
◎気づいた自分を認める
◎自分をいたわる――「過剰の自己保護」との違い
◎自己犠牲は優しさではない
◎自分に声をかけてあげる
◎ナルシスト側に寄せてみる
◎「自己解決ができないか」を考えてみる
◎解決策に集中する
◎認知を変えてみる――リフレーミングの効用
◎リフレーミングの練習
◎自責と他責が半々になるように意識してみる
◎昇華させる
第6章 「他責グセの人」との上手な付き合い方
◎他責グセのある人とかかわる人が、事前に心得ておきたいこと
◎相手の存在を認める
◎謝罪を恐れない――相手のレジリエンス力を信じる
◎コーチングにおける「質問スキル」を活用する
◎手本を示す――ありがとうの実践
◎相手の利益を取り除く
◎社会的支援につなげるアプローチを行なう
◎妄想が入ってきたら、医療機関の受診を
著者について
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(社)日本産業カウンセラー協会認定産業カウンセラー。JAAアロマコーディネーター。
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1971年静岡県出身。同志社女子大学短期大学部英米語学科卒業後、増進会出版社(現:Z会ホールディングス)に入社。勤務しつつ活動していた社団法人での自殺予防電話ボランティア相談員としての4年間の活動がカウンセラーを志すきっかけとなる。退社後、(社)日本産業カウンセラー協会産業カウンセラー資格を取得。2010年より労働局にてセクシャルハラスメント相談員として勤務し、2011年3月任期満了にて終了。2012年「フィールマインド」を設立。対面・電話・メールでカウンセリングを行なう傍ら心理・恋愛関連の執筆活動も行なう。相談受付件数6500件超(2025年4月現在)。
フィールマインド http://feel-mind.net/