多くのビジネスパーソンは「なるべく数字を使って話す」=「根拠を示す」と思っているでしょう(もちろん、私も)。しかし、往々にして「根拠」になっても、「結論」になっていないことがあります。たとえば、「売上が10%下がったので広告を打って挽回しましょう」という提案があったとします。これってよく考えたら「売上10%の低下」が「広告出稿」で解決できるという前提に立ったものです。本来やるべきは低下した原因の究明のはずです。私たちは、よくこの手の「原因をすっ飛ばして、すぐに方策(解決策らしきもの)を探す」をやらかしてしまいます。これではまぐれ当たりはあったとしても、継続的な成果は見込めません。そうならないためにも、ビジネスコミュニケーションにおける「数字の使い方」を本書でぜひ学んでいただけたらと思います(個人的には編集して、ものすごく勉強になりました)。
POSTED BY貝瀬
数字を「単なる報告」から「人を動かす武器」に変える最強のコミュニケーション術
数字を示しつつしっかり説明したり、データをグラフ化して提案したにもかかわらず、「だから何?」「で、何をすればいいの?」と言われたことはありませんか?たしかに、ビジネスの現場において、数字は強力な共通言語です。
しかし、一方で多くの人が数字の「結果(過去の事実)」を語るだけで、相手が本当に知りたい「結論(未来の行動や判断)」を語れていないという「落とし穴」にハマっているのも事実です。
たとえば、「売上が10%上がりました」はただの報告にすぎません。
相手が本当にほしい情報、つまり「その数字から何が言えて、次に何をすべきなのか」という結論を抜きにして、表面的な結果だけを伝えても、相手の心は絶対に動きません。
本書はデータ分析や統計学の教科書ではありません。
目の前にある数字の意味を正しく捉え、相手の脳に一瞬で突き刺さる言葉へと変換する「言語化力」や「思考力」を磨き、相手から「理解・納得・共感」を引き出して人を動かすための実践的なコミュニケーション技術を解説します。
一気に解決策へ飛びつかない! 納得感を生む「ストーリー」の組み立て方
「売上が落ちています。至急、ポイント還元のキャンペーンを打ちましょう!」――このように、問題が起きたとき、原因を深く掘り下げずに手当たり次第に解決策(方策)へジャンプしてしまうことはよくあります。でも、キャンペーンを打てば、売上は本当に回復するのでしょうか?
おそらく、これを聞いた人の多くは「その根拠は?」とか「キャンペーンと売上回復はどうつながるの?」と思うはずです。
ビジネスの現場で周囲の人たちから「なるほど、それならこの方策以外にあり得ないね」と納得してもらうためには、【ゴール → 現状 → 要因 → 方策】を一本の「ストーリー」でつなぐことが必要です。
本書では、このストーリーを構築するための「4つのステップ」を体系的に解説します。
〈ステップ①〉ゴール設定
抽象的な問いを排し、指標を特定できるまで具体化する。
〈ステップ②〉現状把握
「印象」を脇に置き、適切な「ものさし」による比較で客観的事実をあぶり出す。
〈ステップ③〉要因特定
「なぜ?」を突き詰め、自分たちの手でコントロールできる具体的な行動に落とし込む。
〈ステップ④〉結論・方策策定 特定した要因を直接的に解消・軽減する、圧倒的納得感のある具体策を提示する。
5秒で伝わる「引き算のデザイン」と「不都合な真実」を語る誠実さ
本書は、単なる思考法にとどまらず、実務の資料作成やプレゼンで即座に使える「演出のテクニック」も満載しています。○グラフの「引き算のデザイン」
結論に関係ない目盛り線や数字など、脳のメモリをムダ使いさせる「ノイズ」を徹底的に削ぎ落とし、5秒で見せる動線を設計します。グラフの主役は「内容」ではなく「結論」です。
○「不都合な真実」をあえて開示する
自分に都合の良い数字だけを並べる「チェリーピッキング」の誘惑を捨て、前提条件や弱点もあえて明示することで、プロとしての強固な信頼関係を築きます。
○数字を「問い」に変えて相手を巻き込む
結論を押しつけるのではなく、「この前提で出た結果をどう判断するか」と相手に投げかけ、組織の意思決定の質を高める対話戦略を伝授します。
「自分は文系だから数字のセンスがない……」とあきらめる必要はまったくありません。
本書を読むことで、高度な統計学や数学の知識がなくても、目の前の数字を「人を動かす言葉」に変える技術を手に入れることができます。 絶対的な正解がない現代を生き抜く上で、あなた自身の付加価値を最大化する一生モノの武器になるはずです。
気になる本書の内容は次の通りです。
目次
はじめに ――数字の「結果」を語るな、「結論」を語れ第1章 「比較」することで「単なる事実」を飛び越える
「増えている」は本当か?
─あなたの「主観」を「共有できる事実」に変える
比較の視点が「評価」を生む
①どのような数字(指標)を使えばよいのか
データの「切り取り方」で結論は180度変わる
②何と比べるとよいのか
COLUMN その他応用的なケース
具体的な比較評価により、問題を細かく見るメリット
「平均」や「合計」という名の霧を晴らす
比較は「仮説」の母である
思考のコストを下げ、行動のスピードを上げる
③どう比べればよいのか
(1)値の大きさ:その数字は「十分」か?
(2)比率:母数を揃えても「多い」と言えるか?
(3)推移:「多い」と「増えた」は同じではない
(4)バラつき:「平均」という仮面に騙されていないか?
第1章のまとめ 客観性は「信頼」の土台となる
第2章 「ゴール・現状・要因・方策」を一本のストーリーでつなぐ
話の“流れ”は大丈夫か?
「方策」はストーリーの終着点
なぜ私たちは「方策君」になってしまうのか?
組織が育む「動いている人」への評価
ストーリーがもたらす「2つの果実」
ステップ① ゴール設定 ――何をしたいのか?
ゴールが「かすむ」と、すべてが「ゆがむ」
ステップ② 現状把握 ――事実をわかっていると思い込まない
「過去の正解」が「現在の間違い」になる恐怖
「具体性」と「客観性」が要因特定のハードルを下げる
ステップ③ 要因特定 ――「なぜ?」を突き詰めた先にしか答えはない
要因は「何でもよいから挙げればよい」というものではない
「モグラ叩き」を卒業する
「要因」が決まれば、「方策」は選ばれる
COLUMN 数字で客観的に要因を特定するには
ステップ④ 結論・方策策定 ――ストーリーの完結
第2章のまとめ 盤石なコミュニケーションとは「ロジカルな物語 (ストーリー)」である
第3章 相手の脳に「結論」を突き刺す「武器としてのグラフ」
視覚情報のパワーは絶大だが……
グラフの主役は「内容」ではなく「結論」
伝えるべきは「グラフの説明」? それとも「グラフから導かれる結論」?
「ノイズ」が結論を濁らせる ――引き算のデザイン
「5秒だけ見てもらう」としたらどこか
そのグラフ、タイトルを隠しても「言いたいこと」が伝わりますか?
相手の視線を誘導する「視覚的動線」の設計
「何を伝えたいか」でグラフの型は自動的に決まる
COLUMN「比較」を視覚的に強調する技術
AI時代のグラフ作成作法 ――作業者から「演出家」への脱皮
「あえてグラフにしない」という選択肢
第3章のまとめ グラフの主役は「内容」ではなく「結論」
第4章 数字の“表の顔”に騙されず、裏側を読み解く技術
「数字=絶対の事実」という思い込みを捨てる
数字の景色を激変させる「4つのフィルター(前提)」
①期間の切り取り(短期 vs. 長期)
②対象の範囲(全体 vs. 一部)
③単位の選択(値の大きさ(実数) vs. 比率/推移)
④比較の基準(目標 vs. 過去 vs. 競合)
「不都合な真実」を自ら開示する勇気 ――条件つきの結論
相手を思考の渦に巻き込む「問い」としての数字
納得しない/反論しかしない相手への対応
結論を押しつけるのではなく、判断の「材料」を並べる
「別の可能性」をあえて並べる
COLUMN 前提(サンプル)の違いを統計的に確認する
第4章のまとめ 信頼される人は「データの弱点」を語る
第5章 結局、すべては「ゴール設定」に集約される
あなたは、いったい何をしたいのですか?
なぜ再度ゴールを深掘りするのか?
ゴールとは「問題」または「目的」のことである
①(解決したい)問題
②(実現したい)目的
COLUMN 問題と目の前の現象とを区別する
数字は「手段」
――思考の質は「何のために何を示したいか」という意志に支配される
ゴールが「かすむ」と、すべてが「ゆがむ」
――「具体的」に絞り込むほど、思考のスピードは上がる
ゴールを具体化するコツ
良い「結論」とは何か
①良い結論には数字や統計用語が入らない
②その結論によって、直接的に「判断」や「行動」につながるもの
③結論から逆算してみる
第5章のまとめ 第1章~第4章での学びを一本の「線」でつなぐ
著者について
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データ&ストーリーLLC 代表
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横浜国立大学 非常勤講師、多摩大学大学院ビジネススクール 客員教授
慶應義塾大学理工学部卒。米国Emory大学院(MBA)修了。
日立製作所にてセールスエンジニアとして技術営業に従事した後、日産自動車にて海外マーケティング・セールスや組織開発を担当。2014年に独立し、「データ活用」を武器にした問題解決トレーナーとして、年間約30の企業・自治体、のべ1500人以上/年に対しスキル育成・コンサルティングなどを展開。実務に裏打ちされた具体的思考法や手法で成果を出す指導に定評がある。
二児の父. 世界130カ国以上を訪問、国内では東海道五十三次を踏破. FMラジオパーソナリティも務める。
著書にベストセラー『「それ、根拠あるの?」と言わせない データ・統計分析ができる本』(日本実業出版社)ほか国内外で多数。











