「納税者に嫌われる仕事」
現役職員が証言する、
税務調査の人間ドラマ
――これは経費になりません
「まえがき」より
世間一般にとって税務署は〝警戒すべき、怖い存在〟だろう。テレビドラマや映画に登場する国税査察官(マルサ)のように大勢で踏み込んでくる強権的集団、あるいは窓口で融通の利かない対応に終始する冷徹な役人。税務署員のイメージはたいていそんな姿に集約される。
しかし、実際に足を踏み入れてみると、そこにあったのは人間臭い営みであり、社会の縮図であった。
本書では、30年超に及ぶ税務署員人生で私が実際にこの目で見て、肌で感じた「ありのままの税務署」を描きたいと思う。
私はこれまで、滞納者と対峙する徴収部門や、企業の税務調査を行なう法人課税部門、窓口に立つ管理運営部門など、税務署内のさまざまな現場を渡り歩いてきた。現役だから語れる現場の空気、日々の業務の手触り、そして感情がある。
正体を秘すことで、署長の顔色も、上司である統括官の評価もきれいさっぱり忘れて、遠慮忖度なく綴りたい。
もくじ
まえがき――税務署嫌い第1章 税務署員、冷や汗の日々
某月某日 税務署員のある一日:難しい世の中
某月某日 歩くQ&A:税金の質問、やめてください
某月某日 納税者が悪い?税務署が悪い?:クレーム処理
某月某日 逃した獲物:電撃トレード決定
某月某日 宝くじ当選者:私だったら…
某月某日 開業届:「自由」という名の荒野
第2章 税務調査の内幕
某月某日「公務員」というカード:合格発表の日
某月某日 ある暴挙:面接突破の切り札
某月某日 法人、個人、資産、徴収:専門官基礎研修
某月某日 見苦しい言い訳:簿記2級不合格
某月某日 配属!徴収部門:新人教育
某月某日 差し押さえ:税務署の真骨頂
某月某日 お殿さま:署長はキャリア官僚
某月某日 銀行調査:銀行マンの冷徹なルール
某月某日 花形部署へ:予期せぬ異動
某月某日 最初の関門:どこに調査に行くか?
某月某日 教科書のような改ざん:三重の喜び
某月某日 玉の輿:甘い夢の代償
某月某日 見返り要求:「時間使って損したなあ」
某月某日 動揺:「私、逮捕されるんですか?」
某月某日 ピンサロ調査:〝サービス〟は受けてもいいか?
某月某日 裏方:「開発担当」の苦労
某月某日 タレコミ:源泉徴収票の違和感
某月某日 お見合い結婚:そして父になる
第3章 うつと税務署
某月某日 瓢箪からコマ:マルサ引き継ぎ案件
某月某日 いちゃもん税理士:防戦一方
某月某日 調査官、失格:是認の山を築く
某月某日 積み上がる仕事:テトリスみたい
某月某日「うつ病」という診断:全身が脱力するような安堵
某月某日 いつ壊れるかわからない機械:周囲の視線
某月某日 再発の多い病気:「まただ…」
某月某日 仕事に没頭してはいけない:再復帰後の心がけ
第4章 やめるか、まだ続けるか
某月某日 人材不足:新人教育の苦労
某月某日 生き甲斐はクレーム:ハズレを引きませんように
某月某日 ふたりだったから:「父が亡くなりまして」
某月某日 苦情事例:何を言ってもダメな人には…
某月某日 治らない理由:中小企業だったなら
某月某日 意趣返し:「税務署」の看板
某月某日 奇妙な手紙:社長が証明してかったもの
某月某日 戦線離脱:エリート国税マンの居場所
あとがき――「書く」という癒し
【発行】三五館シンシャ/【発売】フォレスト出版











