心理学の本はおもしろくても、読み終えると「結局、仕事でどう使えばいいのか」が残りがちです。本書は、会議で話が噛み合わない、部下が動かない、失敗を引きずる、組織に忖度が広がる、といった身近な場面から理論に入ります。編集を進めるなかで私自身、人の問題を性格だけに求めず、言葉や環境、関係、文化まで含めて考える大切さを何度も実感しました。自分と他者への見方を少し変え、次の行動を選ぶための一冊です。
POSTED BYかばを
なぜ、人は思いどおりに動かないのか
同じ言葉を聞いても、人によって受け取り方が違う。正しいことを伝えたはずなのに、相手は納得してくれない。やるべきことはわかっているのに、自分自身もなかなか行動できない……。こうした悩みは、日々の仕事の現場で多くのビジネスパーソンが直面しているものです。私たちの心は、本人の性格や意思だけで動いているわけではありません。過去の経験からつくられた「見方のクセ」、相手との関係、置かれた環境、組織のルールや文化など、さまざまな要素が重なり合って、判断や行動を生み出しています。
本書は、こうした複雑な人間の心理を読み解き、対人関係、意思決定、交渉、マネジメントといったビジネスの現場で成果を出すために活かす実践的な心理学入門です。
心理学を「6つの視点」から立体的に読み解く
従来の心理学入門書のように、フロイト、行動主義、認知心理学と学説の歴史を順番にたどるのではなく、本書では心理学を「言語」「活動」「知」「環境」「情動」「文化」という6つのテーマから再構成しました。なぜ言葉がすれ違いを生むのか。なぜ原因を考えるほど動けなくなるのか。時間や空間は判断にどのような影響を与えるのか。怒りや劣等感はどこから生まれるのか。なぜ組織に忖度やパワハラが広がるのか――。
スキーマ、ナッジ、成長マインドセット、アフォーダンス、セルフコンパッション、心理的安全性、レジリエンスなど、現代心理学の重要な概念を、会議、営業、評価面談、チーム運営といった具体的なビジネスシーンに結びつけながら、すぐに使える形でわかりやすく解説します。
人を変える前に、「人の見方」を変える
本書の大きな特徴は、人の問題を「本人の性格」だけで説明しないことです。部下が動かないのは、やる気がないからなのか。会議で意見が出ないのは、積極性がないからなのか。職場の問題は、困った上司や部下を入れ替えれば解決するのか。心理学の視点を使えば、その背景にある言葉の使い方、仕事の仕組み、人間関係、環境、組織文化まで見えてきます。
自分や他者を決めつけるのではなく、行動を生み出している構造を理解する。それは、マネジメントの質を高め、チームの成果を引き出し、自身の意思決定の精度を上げることにもつながります。ビジネスの現場で即実践できる、「すぐに使える」心理学です。
目次
序章 人と社会の"共創"の「心の科学」へ第1章 人の言葉が心をつくるのか
第2章 人は何によって行動するのか
第3章 人はどのように考え学び発達するのか
第4章 環境(時間・空間)は人のどんな選択や視点を誘導するのか
第5章 情動は生きる力と喜びの原点か
第6章 人は組織・文化のなかで心や性格をつくるのか
著者について
-
和歌山市生まれ。日本ビジネス心理学会副会長。デジタルハリウッド大学(元)教授。1990年東大大学院教育学研究科を退学後、同年には東大の医学系研究者ら共にとベンチャーの(株)認知科学研究所を創設し、東大医学部公衆衛生研究室にてストレスと創造性の研究成果を事業化。それ以後は95年に通信機器メーカにて営業・事業開発の部長職に就き、アップル社やNEC、住友3M、NTTなど100社以上のコンサル・研修業に従事。20代の学生時代より教育改革のために私塾「エミール」設立、東進スクール研究所顧問、eラーニングの(株)デジタルナレッジ顧問や販売ソフト企業の非常勤取締役など歴任する。
View More
他に公的な業務としては、早稲田大学IT経営戦略研究所客員研究員、立正大学心理学部、医系大学の非常勤講師などを歴任。また、CRM協議会(初代事務局長)など15件の業界団体を自ら創設して新しいビジネスモデル創りを推進。現在は主に「ビジネス心理検定」の資格普及と、AI活用の思考法の教育・コンサル業に従事。
著作には『サクッとわかるビジネス教養;心理学』(新星出版社)、『ど素人でもわかる心理学の本』(翔泳社)、『ビジネス心理学』(経団連出版)など60冊ほど。TVでも「ナカイの窓」等でレギュラー出演・企画し、「しぐさ行動分析」の専門家で知られる。












