「欲望を売買する仕事」
証券マンがさらけ出す、
業界の暗部と、人生の浮き沈み
――本書に登場する証券会社名および日興証券の支店名や部署名はすべて実名である――
第3章「お仕置き部屋から愛を込めて」より
金融庁の公益通報窓口にメールをして2週間ほど、今度はSMFG(三井住友フィナンシャルグループ)の人事部から呼び出しを受けた。本社に出向き応接室へ入ると、人事担当者は言葉を選ぶように口を開いた。
「少し確認したいことがあり、お越しいただきました。これからお尋ねすることについてお答えいただく義務はありませんし、お答えになりたくなければ、そのままでも結構です」
一語一句を慎重に選び、踏み込みすぎないよう過剰な配慮が感じられる口ぶりだった。
「日野山さんは金融庁に公益通報をされましたでしょうか?」
私は後ろめたいことをしたつもりはない。自分が正しいと信じたことに従って行動しただけだ。しかし、一瞬だけどう答えようか迷ってしまったのはどうしてだろう。
「はい。行ないました」
そう答えると、担当者は表情を変えずにうなずいた。
もくじ
まえがき――私は被害者だったのか?第1章 証券マン、只今修業中
某月某日 行き当たりばったり:氷河期の就職活動
某月某日 10人の新人課長:ジャイアンの中ののび太
某月某日 ハズレとアタリ:配属先、発表
某月某日 精神論:「京都支店には絶対負けるな」
某月某日 1強3弱:課長の頭の傷跡
某月某日 新規開拓:新人営業マンの日常
某月某日 飛び込み営業の法則:紹介は累乗
某月某日 誕生日作戦:人は〝納得〟を買う
某月某日 山一廃業:支店は戦場になった
某月某日 モズク酒:証券会社の風土
某月某日 やめない理由:離れていく背中
第2章 空気の読めない男
某月某日 幻の全国1位:100年に一度の変動
某月某日 株主総会:灰皿直撃
某月某日 フィリピンパブ:叡智を結集した重大発表
某月某日 最終手段:ITバブル真っ最中
某月某日 理想主義者:理屈より数字の世界
某月某日 プロポーズ:証券会社の本丸・東京へ
某月某日 不用意な発言:可愛げのない部下
某月某日 余計なお世話:「まだ父を許せません」
某月某日 GHQ統治:効率化を邪魔するな
某月某日 僕の切符:「正しいこと」へのこだわり
某月某日 話の通じない相手:横行するルール違反
某月某日 筒抜け:「今後のあなたのためです」
某月某日 警察沙汰:老夫婦は認知症?
第3章 お仕置き部屋から愛を込めて
某月某日 思いがけない言葉:「離婚してくれない?」
某月某日 再会と別離:シティバンク青山支店
某月某日 大義名分:チャンスに乗じたSMBC
某月某日 尾行:課長のしっぽ
某月某日 おかしいのは会社か?私か?:PB管理部
某月某日 発達障害:「面倒な社員」の正体
某月某日 相場操縦:最後の通報
某月某日 社長就任:返ってこなくなった手紙
第4章 さらば、日興証券
某月某日 賽の河原:入社式の準備
某月某日 最後の望み:割増退職金
某月某日 見えない壁:金融機関で働きたい…
某月某日 48歳の孤独:異業種への転職活動
某月某日 人は変われる:力には力で対抗しない
某月某日 謝罪会見:日興証券は私の青春だった
あとがき――私は変わったか?
【発行】三五館シンシャ/【発売】フォレスト出版











